これも意味深なタイトルである。中島みゆきの完成品が産まれる「予感」か?

いつの間にか活字に変わっていた歌詞が中島みゆきの直筆に戻っている。

このアルバムの曲調はすでにフォークから脱却しているようにも見える。1曲目から4曲目までを中島みゆき自身が、5曲目から9曲目までを井上堯之がアレンジを担当している。
中島みゆきが本格的にアレンジを担当したのはこのアルバムが最初で、ジャズ風3曲にバラード風1曲である。それに対して、井上堯之がフォーク風(中島みゆきがデビューした頃のフォークとは違うが、あえて曲調を言うとすればという意味で)なアレンジをしているのが面白い。中島みゆきはフォーク風なアレンジは他人に任せて自分は他の分野の曲調のアレンジに挑戦しているといえる。といっても、ジャズ風、バラード風は最初のアルバムから見られたので、中島みゆきとしては自分なりにアレンジしてみたかったのだと思う。

このアルバムのオリコン最高位は、1位。
題名 歌詞
曲調
解説
この世に二人だけ
ジャズ
三角関係のふられ役。男が選んだ女の絵の載った本を買う。色彩は男の好みの色。それでも、大事にする。この世に私と二人だけになっても私を選ばない。
夏土産
バラード
ピアノのイントロが印象的。これも三角関係のふられ役。「今年は友達と一緒に海へ行く約束」という男の嘘を、友達から届いた写真の隅に偶然女と一緒に映っていることから知る。写真をくれた友達からもらった貝殻と写真が対称的。
髪を洗う女
ジャズ
イントロに四小節、男の小さな声でエコーの効いた独唱が入る。「煙草のけむり」と「お酒の香り」と「あいつのすべて」を流そうとして流れない。髪を洗う行為によって、男を忘れようとしている。
ばいばいどくおぶざべい
ジャズ
 「どくおぶざべい」とは、私は知らないがたぶんロックの歌であろう。次の仕事が決まって店を離れるロックシンガーに、最後にこの歌をリクエストしている。昔はこの店で演奏していたのだが、左手がダメになってギターを弾けなくなった悲嘆を温かい目で送り出す。
誰のせいでもない雨が
フォーク
反体制を維持することの難しさからいつしか体制化してしまう悲しみを癒せと歌う。それはあたかも誰のせいでもない雨が降るのと同じという。「滝川」「後藤」という苗字は抽象化した固有名詞だが普遍性を持たせている。
フォーク
縁のある人は遠くにいても引き合う。縁なき人は顔を見合わせてもすれ違う。単なる失恋歌ではなく、「縁」という人生における不思議な現象を恋に置き換えて歌う。
テキーラを飲みほして
フォーク
ふられ節。男の惚れた女を真似てありきたりの女っぽさを振舞ってみたり、男の惚れた相手が変わるたび悪魔にでも天使にでも変わる。6年間、待てと言われもしないのに待ち続ける耳に男が結婚するという噂を聞く。テキーラを飲み干して、こちらからサヨナラを言ってやるわ。
金魚
フォーク
露店の金魚すくいで一匹もすくえなかった。けど、どうせ旅暮らしで飼えないからよかった。「旅暮らし」にはコンサートに明け暮れる中島みゆきが投影されている。
ファイト!
フォーク
投書を読むかの様な語り口調で少年少女の心痛むメッセージを口ずさむ。勿論これはみゆきの創作であるが胸を打つ。世間の流れのままに生きることは楽だが、傷ついても夢に向かって戦えとリスナーに呼びかけている。
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