おもいで河
1976年8月21日発売
[A面]おもいで河  作詞・作曲 中島みゆき  編曲 若草恵

涙の国から 吹く風は
ひとつ覚えのサヨナラを 繰り返す
おもいで河には 砂の船
もう 心はどこへも 流れない

 飲んで すべてを忘れられるものならば
 今夜も ひとり飲み明かしてみるけれど
 飲めば飲むほどに 想いでは深くなる
 忘れきれない この想い 深くなる

 おもいで河へと 身を投げて
 もう 私は どこへも流れない

季節のさそいに さそわれて
流れゆく 木の葉よりも 軽やかに
あなたの心は 消えてゆく
もう 私の愛では とまらない

 飲んで すべてを忘れられるものならば
 今夜も ひとり飲み明かしてみるけれど
 飲めば飲むほどに 想い出は深くなる
 忘れきれない この想い 深くなる

 おもいで河へと 身を投げて
 もう 私は どこへも流れない

 飲んで すべてを忘れられるものならば
 今夜も ひとり 飲み明かしてみるけれど
 飲めば飲むほどに 想い出は深くなる
 忘れきれない この心 深くなる

 おもいで河へと 身を投げて
 もう 私は どこへも流れない

 おもいで河へと 身を投げて
 もう 私は どこへも流れない

JASRACコード  014-5435-8


ギターの弾き語りで、前奏と間奏にマンドリンの伴奏がつく。

「おもいで河」とは中島みゆきの造語である「おもいで」とあるのは歌詞では「おもいで」「想いで」「想い出」とある。思い出が普通の当て字であるが、私もこちらの想い出が好きである。

歌詞は難解ではない。想い出に流されてゆく姿をいろいろと歌っている。

想い出は当然恋愛の想い出である。中島みゆきはインタビューの中で、好きになるとすぐ告白してしまい、振られてばかりと笑って言っている。

歌詞では「流れゆく」とあるが、実際には「ながれてゆく」と歌っている。誤植かそれとも、間違いか。たぶん後者であろう。中島みゆきは歌詞間違いの名手でコンサートなんかでも、しょっちゅう間違えるばかりか、忘れていることさえあるという。そのときはバックコーラスの佳代ちゃんが歌っているそうな。

[B面] ほうせんか

悲しいですね 人は誰にも
明日 流す涙が見えません
別れる人とわかっていれば
はじめから 寄りつきもしないのに

 後姿のあの人に 優しすぎたわと ぽつり

 ほうせんか 私の心
 砕けて 砕けて 紅くなれ
 ほうせんか 空まであがれ
 あの人に しがみつけ

悲しいですね 人はこんなに
ひとりで残されても 生きてます
悲しいですね お酒に酔って
名前 呼び違えては 叱られて

 後姿のあの人に幸せになれなんて 祈れない
 いつか さすらいに耐えかねて 私をたずねて来てよ

 ほうせんか 私の心
 砕けて 砕けて 紅くなれ
 ほうせんか 空まであがれ
 あの人に しがみつけ

 ほうせんか 私の心
 砕けて 砕けて 紅くなれ
 ほうせんか 空まであがれ
 あの人に しがみつけ

 あの人に しがみつけ
 あの人に しがみつけ

この歌もギターの弾き語りである。

この歌は中島みゆきや松山千春を応援し続けた北海道のディレクタ(
竹田健二氏)が急死したことへの鎮魂歌である。

中島みゆき全歌詞集」というギターブックがある。デビューから、LP『36.5℃』までを掲載している本である。その本は私の愛読書で入院しているとき、ウォークマンで聴きながら、歌詞を見ている。

この歌の歌詞には全部赤線が引いてある。それほど、思い入れの激しい歌である。

ほうせんかは花が散ると実が袋の中にあり、やがて実ははじけてとんでゆき、地に落ちると種となってゆく。そういう意味ではディレクタがはじけてやがて生まれ変わるのは仏教で言う輪廻の思想か。

ほうせんかの花