『おかえりなさい』に続く、中島みゆきが提供した曲を自分で歌ったセルフ・カバー・アルバム。

初期の作品ばかりなのか、男と女の三角関係やふられ節がほとんどである。前のアルバムの『はじめまして』まで聴いてきて逆戻りした感じがする。

しかし、このアルバムの真骨頂はサウンドにある。。サウンド・プロデューサーという形で、甲斐よしひろ、センチメンタル・シティ・ロマンス、クリスタルキング、後藤次利、クニ河内らのロック・アーティストが、それぞれ12曲ほどの候補から好きな曲を選びプロデュースを担当している。甲斐バンドのきらびやかなインスツルメンタルが際立っている。また、1980年代になって普及したシンセサイザーを初めて使っている。

アレンジは1・8曲目をチト河内が、2・3・5曲目を告井延隆が、4・7曲目を山下三智夫とクリスタルキングが、8曲目を後藤次利が、9曲目をクニ河内が担当している。

このアルバムもオリコン最高位は、1位。
題名 歌詞
曲調
解説
ひとりぼっちで躍らせて
バラード
研ナオコに提供した曲。イントロから流れる甲斐バンドのインスツルメンタルがきらびやかな感じを醸し出している。みゆきは艶のある明るい声で歌っている。三角関係のふられ役。
すずめ
バラード
ピンクレディの増田恵子に提供した曲。イントロに尺八を思わせる音が流れるが演奏者に尺八の項はない。ただ、インスツルメンツがクリスタルキングとなっているだけである。この音はシンセサイザーによって出されたものと推測される。中島みゆきの歌には鳥や空をタイトルにした曲が多い。飛翔願望があるのか。
最愛
バラード
柏原芳恵に提供した曲。ピアノのイントロとコーラスが重々しさを醸し出しているが、曲は軽やかでみゆきも軽く歌っている。歌詞カードには冒頭に、「メッセージを お願いします 今 出てゆくあの船に」とあるが、歌われていない。三角関係のふられ役。しかし、この歌では男への未練も女への嫉妬もない。ただ、私が一番好きなのはあなたなの。
さよならの鐘
バラード
グラシェラ・スサーナに提供した曲。イントロのドラムとエレキギター、シンセサイザーのうるさいまでの演奏に比してヴォーカルに入ると穏やかな演奏になる。みゆきは語尾をかすむような声で歌っている。同時期にデビューした山崎ハコのファーストアルバムに「サヨナラの鐘」という曲がある。
海と宝石
フォーク
松坂慶子に提供した曲。軽快なテンポの曲である。A・ティックギターのスリーフィンガー演奏で始まる。求愛歌。愛して欲しいけど、あなたが困るなら海にでも話すわ。いつの間にか「冷たそうな女が 身について 傷つけることだけ 得意です」ありがちな話である。題名の「宝石」とは愛してくれる男のことを指すのか?
カム・フラージュ
ロック
柏原芳恵に提供した曲。甲斐バンドのインスツルメンツがカッコいい。この曲には甲斐バンドを中心としたプロジェクト”K”が大きな役割を果たしている。間奏前に絶叫しているのは甲斐よしひろ。
煙草
ジャズ
古手川祐子に提供した曲。みゆきは抑えたささやきに近い声で歌っている。この歌も三角関係の歌である。煙草を吸い終わった時に、あなたとあの娘が踊っているのが目に入る。余談であるが、喉を守るため中島みゆきは煙草はもちろんコーヒーも飲まないそうだ。代わりにお酒は大好きである。
美貌の都
ジャズ
郷ひろみに提供した曲。イントロのシンセサイザーが美しい。みゆきの声はエコーがかかり、高音が強調されている。別れた男と女が出会っても、互いに意地を張って元の鞘に収まろうとしない。
かもめはかもめ
バラード
研ナオコに提供した曲。イントロから続くパイプ・オルガンがクラシックを思わせる。不詳にも私はこのアルバムに収録された曲の内、提供した歌手の歌を知っているのはこの曲だけである。1978年研ナオコは日本歌謡大賞放送音楽賞、第20回日本レコード大賞金賞を受賞している。この曲も三角関係の歌。しかし、あなたのことはあきらめている。
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