このアルバムを以って、”御乱心の時代”は終わったと中島みゆきは語っている。これまで様々なアレンジャーに曲を預け音作りを追求してきたが、このアルバム以降、中島みゆきはずっと瀬尾一三(いちぞう)氏に編曲を頼んでいる。中島みゆきにとって瀬尾一三氏は求めて止まなかった編曲の具現者なのであろう。

瀬尾一三氏といえば、長渕剛の最高傑作アルバム『LICENCE』の編曲を担当している。『LICENCE』の発売が1987年8月5日であるから、中島みゆきのアルバム『36.5℃』と『中島みゆき』の間に当たる。中島みゆきが大ヒットアルバム『LICENCE』を聴かなかったことはないと思う。アルバム『LICENCE』に触発されて、瀬尾一三氏に編曲を頼んでみたという推測はあながち独断ではないと思う。そしてそれは成功する。

このアルバムでは、『中島みゆき』から大きく転換した、肩の力の抜けた中島みゆきが表現されている。また、このアルバム以降シンセサイザーは使われておらず、オーソドックスな楽器を用いた音作りがされている。

なお、タイトルの『グッバイガール』というのは、直訳すれば「少女よさようなら」となり、これまで自分の理想とする編曲を求めて、さまよってきた自分への決別とも取れる。

このアルバムは初登場でオリコン1位を獲得している。
題名 歌詞
曲調
解説
野ウサギのように
フォーク
中島みゆきは転換期のアルバムでは第1曲目に変貌を如実に表す曲を持ってくる。軽快なリズムに乗って中島みゆきは軽やかに歌っている。
ふらふら
ジャズ
 「あの人」の常連店で来るのを待っている。ただ待っている訳ではない。飲んだくれている。中島みゆきも酔ったような歌声で歌っている。
MEGAMI
バラード
中島みゆきの十八番の「ささやき歌唱法」である。ここではキリスト教で最大のテーマであるアガペーが歌われている。すなわち、無条件の愛、万人に平等な愛、見返りを求めない愛などである。中島みゆきはカトリック系大学を卒業しており、キリスト教的愛については造詣が深かったであろう。
気にしないで
フォーク
優しい歌声の中に張りのある歌声の1小節が効果的である。三角関係の歌。相手の女性に対して思いやりを施し、自分は退いている。初期の「ふられ節」とは大きな違いがある。
十二月
ロック
ロックといっても『36.5℃』とは大いに異なる。軽いロックである。「自殺する若い女が この月だけ急に増える」が主題であり、「人恋しさと泣け 十二月」が伏線になっているが、私にはよく判らない。
たとえ世界が空から落ちても
バラード
一転してスローバラードである。「ささやき歌唱法」をしている。「札付き」でも「殺し屋」でも「嘘つき」でも「落ちぶれ」でもやさしくしてくれるなら、誰だって好き。やさしくしてくれるならあの人をかばう、「たとえ世界が空から落ちても」(=どんなことが起きたって)。
愛よりも
バラード
荘厳な感じのイントロに中島みゆきの張りのある声が続く。アンチテーゼを含んだ人生歌。
涙ーMade in tears
フォーク
前川清に提供した曲。それを意識してかコケティッシュな歌い方をしている。男を忘れようと決めても涙が出る。「男運は 悪くなかった あんないい人 いやしないもの」泣かされる。
吹雪
フォーク
イントロがいかにも吹雪というイメージを出している。歌詞は暗喩に富んでいて私には理解し難い。
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