このアルバムが中島みゆきの最高傑作のひとつであることは多くの人が認めるであろう。

おおよそ、この頃のフォークシンガーにとって3枚目のアルバムがそのアーティストの将来を決めたと私は考えている。

よしだたくろうの『人間なんて』井上陽水の『氷の世界』かぐや姫の『かぐや姫さあど』グレープの『コミュニケーション』など優れたアルバムがデビューから3枚目で完成している。
それは2枚目が1枚目の二番煎じてもファンは着いてきてくれるが、3枚目も同じだと離れていく。
本人やファンには失礼だが、山崎ハコや森田童子はこちらに属する。

アーチストもその辺の事情は解かっているので、3枚目には新しい側面を出す。それが優れたアルバムとなるのである。

クレジットには、楽器担当者の名前も編曲者の名前もないが、坂本龍一がキーボード、吉田健がベース、杉本喜代志がギター、小松崎正雄がドラムを担当したらしい。坂本龍一は「店の名はライフ」で美しい演奏を聴かせてくれる。

このアルバム『あ・り・が・と・う』のオリコン最高位は、6位。中島みゆきが注目され始めたことを物語る。

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題名 歌詞
曲調
解説
遍路
フォーク
男にふられる女のパターンをコミカルに歌っている。後のアルバム『寒水魚』に収録されている「捨てるほどの愛でいいから」や「時刻表」で完成される「ささやき歌唱法」の片鱗が見える。
店の名はライフ
ジャズ
「親娘でよく似て見事な胸」に中島みゆきの皮肉がこめられている。当時中島みゆきは「ぺったん」というあだ名がついていた。中島みゆきが大学時代、札幌に実在した店がモチーフになっているという説もある。古き良き時代を回想している。「いまや純喫茶」以降がさらに引き立てている。
まつりばやし
フォーク
みゆきが24歳の時に脳溢血で亡くなった父への追悼歌である。去年の夏、二人して二階の窓からまつりばやしを見たけど、通り過ぎていったところで、もう二度とまつりばやしを二人で見ることは出来なくなった。「もう 紅い花が 揺れても」のリフレインが切ない。
女なんてものに
フォーク
作家の吉行淳之介との対談の中で吉行氏が「どうも女に本当の恋愛感情があるのだろうか私は疑問に思っている」という発言に対して異議を唱えた歌。ふられ節であるが、高らかな声で歌っている。
朝焼け
ジャズ
ふられ節。あの人は今頃例の女と二人だと思うといっそあの人も不幸せになれと願う
ホームにて
フォーク
ギター一本のアルペジオが美しい中島みゆきの初期の歌の中ではサウンド的に最高の曲。ゆっくりしたテンポでセンチメンタルな気分にさせられる。ドラマ『北の国から』でBGMとして使われた。
勝手にしやがれ
フォーク
当時、沢田研二に同名の歌があり、ある音楽評論家はみゆきの歌を酷評していた。『彼女の生き方』に通じるみゆきのシニカルな人生観が反映されている。
サーチライト
ブルース
コミカルな歌詞をコミカルな歌い方をしている。「私の悲しみは昇る朝日を落としちまうほど」とはすごい表現である。
時は流れて
フォーク
7分以上もの大作。失恋歌。時が流れてもやはりふられた「あんた」を追い続けている。