A-1 元気ですか

A-2 怜子

A-3 わかれうた

A-4 海鳴り

A-5 化粧


元気ですか

「元気ですか」と
電話をかけました
あのひとのところへ電話をかけました
いやな私です
やめようと思ったけれど
いろんなこと わかってるけれど
わかりきってるけれど
電話をかけました
あのひとに元気かとききました
あのひとに幸せかとききました
わかっているのに わかっているのに
遠回しに 探りをいれてる私
皮肉のつもり 嫌がらせのつもり
いやな私……
あいつに嫌われるの 当り前

あのひとの声は濁りがなくて
真夜中なのに つきあってくれる
きっと 知ってるのに
あいつ 言ったでしょう 私のこと
うるさい女って 言ったでしょう
……そうね
あいつは そんな男じゃない
わかってる
あいつのこと
うるさく追いかける私
誰だって知ってる
でも あなただけ笑わなかった
やさしいのね やさしいのね
あの頃はもう 愛されていたから?

……何を望んでるの あたし
あのひともいつか
飽きられることを!?

あのひとは いつまでも 電話につきあってくれて
あたしは別に話すことなんかない
声をきいてみたかっただけよ
どんな声があいつは好きなの
どんな話し方があいつは好きなの

……私 電話をかけました
「あいつがやけに あなたの絵をほめるのよ」
「あたしも あの絵 好きだな」
「それにね あのモデル 実は
あたしの彼に…そう 彼に ちょっと似ててね……」
……ウソ ばっかり……
誘いをかけてるだけよ
あいつの話が出ないかと思って
「明日どうするの」だって
そんなこと 知ったことじゃ ないわよね
どうして そんなに答えるの
わかってるのよ あたし
わかってるのよ あたし
ほんとは
「そこにいる あいつを 電話に出して」
って言いたいのよ
……
……

あのひとが最後まで しらを切ったのは
最大限の 私への思いやり
わかってる あたし
わかってる あのひと
わかってるのに わかっているのに
うらやましくて
うらやましくて
……つき合ってくれてありがとう
でも今夜は 私 泣くと思います
うらやましくて
やっぱり
うらやましくて
うらやましくて
うらやましくて

今夜は 泣くと
……思います
 
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怜子

  • 怜子 いい女になったね
    惚れられると 女は
    本当に 変わるんだね
    怜子 ひとりで街も歩けない
    自信のない女だった
    おまえが 嘘のよう

    ひとの不幸を 祈るようにだけは
    なりたくないと願ってきたが
    今夜 おまえの幸せぶりが
    風に追われる 私の胸に痛すぎる

  • 怜子 みちがえるようになって
    あいつにでも 本気で
    惚れることが あるんだね
    怜子 あいつは 誰と居ても
    淋しそうな男だった
    おまえとならば あうんだね

    ひとの不幸を 祈るようにだけは
    なりたくないと願ってきたが
    今夜 おまえの幸せぶりが
    風に追われる 私の胸に痛すぎる


    (COPYRIGHT) JASRACコード 094-6624-0

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    わかれうた

  • 途に倒れて だれかの名を
    呼び続けたことが ありますか
    人ごとに言うほど たそがれは
    優しい人好しじゃ ありません

    別れの気分に 味を占めて
    あなたは 私の戸を叩いた
    私は別れを 忘れたくて
    あなたの眼を見ずに 戸を開けた

    わかれはいつもついて来る 幸せの後ろをついて来る
    それが私のクセなのか いつも目覚めれば独り

    あなたは愁いを身につけて
    うかれ街あたりで 名をあげる
    眠れない私は つれづれに
    わかれうた 今夜も 口ずさむ

  • だれが名付けたか 私には
    別れうた唄いの 影がある
    好きで別れ唄う 筈もない
    他に知らないから 口ずさむ

    恋の終わりは いつもいつも
    立ち去る者だけが 美しい
    残されて 戸惑う者たちは
    追いかけて焦がれて 泣き狂う

    わかれはいつもついて来る 幸せの後ろをついて来る
    それが私のクセなのか いつも目覚めれば独り

    あなたは愁いを身につけて
    うかれ街あたりで 名をあげる
    眠れない私は つれづれに
    わかれうた 今夜も 口ずさむ

    (COPYRIGHT) JASRACコード 095-5018-6

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    海鳴り

  • 海鳴りが寂しがる夜は
    古い時計が泣いてなだめる
    遠く過ぎて行った者たちの
    声を真似して 呼んでみせる

    覚えてるよ 覚えてるよ
    この足元で はしゃいでいたね
    覚えてるよ 覚えてるよ
    時計だけが約束を守る

    海鳴りよ 海鳴りよ
    今日も また お前と 私が 残ったね

    海鳴りよ 海鳴りよ
    今日も また お前と 私が 残ったね

  • 見てごらん 今歩いてゆく
    あんな ふたりを 昔みたね
    そして 今日は 明日は 誰が
    私の ねじを 巻いてくれるだろう

    忘れないで 忘れないで
    叫ぶ声が 今も 聞こえてる
    忘れないよ 忘れないよ
    時計だけが約束を守る

    海鳴りよ 海鳴りよ
    今日もまた お前と 私が 残ったね

    海鳴りよ 海鳴りよ
    今日もまた お前と 私が 残ったね

    (COPYRIGHT) JASRACコード 010-4852-0

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    化粧

  • 化粧なんて どうでもいいと思ってきたけれど
    せめて 今夜だけでも きれいになりたい
    今夜 あたしは あんたに 逢いに ゆくから
    最後の最後に 逢いにゆくから

    あたしが出した 手紙の束を返してよ
    誰かと 二人で 読むのは やめてよ
    放り出された昔を 胸に抱えたら
    見慣れた夜道を 走って帰る

    流れるな 涙 心でとまれ
    流れるな 涙 バスが出るまで

    バカだね バカだね バカだね あたし
    愛してほしいと 思ってたなんて
    バカだね バカだね バカのくせに
    愛してもらえるつもりでいたなんて

  • 化粧なんて どうでもいいと思ってきたけれど
    今夜,死んでも いいから きれいになりたい
    こんなことなら あいつを捨てなきゃよかったと
    最後の最後に あんたに 思われたい

    流れるな 涙 心でとまれ
    流れるな 涙 バスが出るまで

    流れるな 涙 心でとまれ
    流れるな 涙 バスが出るまで

    バカだね バカだね バカだね あたし
    愛してほしいと 思ってたなんて
    バカだね バカだね バカのくせに
    愛してもらえるつもりでいたなんて

    (COPYRIGHT) JASRACコード

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  • B-1 ミルク32

    B-2 あほう鳥

    B-3 おまえの家

    B-4 世情

    ミルク32

  • ねえ ミルク またふられたわ
    忙しそうね そのまま聞いて
    ゆらゆら 重ね上げた
    お皿と カップの かげから

    ねえ ミルク またふられたわ
    ちょっと,飛ばさないでよ この服高いんだから
    うまくは いかないわね
    今度はと 思ったんだけどな

    あんたときたら ミルクなんで飲んでてさ
    あたし 随分 笑ったわね
    いつのまに バーボンなんて
    飲むように なったのよ

  • ねえ ミルク 悪いわね
    ふられた時ばかり現われて
    笑ってるの 怒ってるの
    そんなに 無口だったかしらね

    ねえ ミルク 聞いてるの
    今,それ どうしても 洗わなきゃならないの
    忙しいものなのね マスターともなると
    ほんとかしら

    なんで あんなに あたしたち 二人とも
    意地を 張りあったのかしらね
    ミルク もう 32
    あたしたち,ずっと このままね

  • ねえ ミルク
    もう終わりでしょ
    帰るわ
    レシートは どこ?

    表は雨降り夜
    もう少し
    いようかしら……

    ねえ ミルク
    ねえ ミルク
    ねえ

    (COPYRIGHT) JASRACコード 083-4425-6

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    あほう鳥

  • あたしは とても おつむが軽い
    あんたは とても 心が軽い
    二人並べて よくよく 見れば
    どちらも 泣かない あほう鳥

    悪い夢を見て 泣くなんて
    いい年をして することじゃない
    いつもどおり あたしどおり
    つづけるさ ばか笑い

    忘れます 忘れます
    あんたが好きだったって こともね

    忘れます 忘れます
    あたしが生きていたって こともね

  • あたしは いつも ねぐらを探す
    あんたは いつも 出口を探す
    二人あわせて 二つにわれば
    どちらも いいとこ あほう鳥

    悪い夢を見て 泣くなんて
    いい年をして することじゃない
    いつもどおり あたしどおり
    つづけるさ ばか笑い

    忘れます 忘れます
    あんたが好きだったって こともね

    忘れます 忘れます
    あたしが 生きていたって こともね


    (COPYRIGHT) JASRACコード 001-8690-2

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    おまえの家

  • 雨もあがったことだし おまえの家でも
    ふっと たずねて みたくなった
    けれど おまえの家は なんだか どこかが
    しばらく 見ないまに 変わったみたい
    前には とても おまえが聞かなかった 音楽が
    投げつけるみたいに 鳴り続けていたし
    何より ドアを あける おまえが なんだかと
    言いかけて おまえもね と 言われそうで 黙り込んだ
    昔 飼っていた猫は 黒猫じゃ なかったね
    髪型も そんなじゃ なかったね
    それは それなりに 多分 似合ってるんだろうけど
    なんだか 前のほうが と 言いかけて とめた
    言いだせないことを 聞きだせもせずに 二人とも 黙って
    お湯の沸く 青い火をみている
    何を飲むかと ぽつり お前は たずねる
    喫茶店に来てる気は ないさ

    ねえ 昔よく聴いた あいつの新しいレコードがと
    わざと 明るく きり出したとき おまえの涙をみる
    ギターは やめたんだ 食って いけないもんな と
    それきり 火を見ている

  • 部屋の隅には 黒い革靴がひとつ
    くたびれて お先に と 休んでる
    お湯のやかんが わめきたてるのを ああと 気がついて
    おまえは 笑ったような 顔になる
    なにげなく タンスに たてかけた ギターを
    あたしは ふと見つめて 思わず思わず 目をそむける
    あの頃の おまえのギターは いつでも
    こんなに 磨いては なかったよね

    あんまり ゆっくりも してはいられないんだ
    今度 また来るからと おまえの目を見ずに言うと
    そうか いつでも 来てくれよと
    そのとき おまえは 昔の顔だった

  • コートの衿を立てて あたしは仕事場へ向かう
    指先も 衿もとも 冷たい
    今夜は どんなに メイジャーの歌を弾いても
    しめっぽい 音を ギターは 出すだろう

    (COPYRIGHT) JASRACコード 014-5014-0

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    世情

  • 世の中はいつも 変わっているから
    頑固者だけが 悲しい思いをする

    変わらないものを 何かにたとえて
    その度 崩れちゃ そいつのせいにする

    シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく
    変わらない夢を 流れに求めて
    時の流れを止めて 変わらない夢を
    見たがる者たちと 戦うため

  • 世の中はとても 臆病な猫だから
    他愛のない嘘を いつも ついている

    包帯のような 嘘を 見破ることで
    学者は 世間を 見たような気になる

    シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく
    変わらない夢を 流れに求めて
    時の流れを止めて 変わらない夢を
    見たがる者たちと 戦うため

    シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく
    変わらない夢を 流れに求めて
    時の流れを止めて 変わらない夢を
    見たがる者たちと 戦うため

    シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく
    変わらない夢を 流れに求めて
    時の流れを止めて 変わらない夢を
    見たがる者たちと 戦うため

    (COPYRIGHT) JASRACコード 044-2802-1

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